研究概要 |
大腸菌BL21(DE3)codonPlusRILを宿主に、アーキオシン生合成に関与する酵素QueC,QueD,QueEの発現を試みた。それぞれの組換えタンパク質の誘導発現(OD_<660>=0.4で、IPTG(終濃度0.1mM)添加)を試み、誘導開始4時間後の全菌体をSDS-PAGEに供したところ、すべての組換えタンパク質の発現を確認することができた。さらに、これらの細胞抽出液を熱処理(85℃、15min)し、陰イオン交換カラムクロマトグラフィー(HiTrapQ、ResourceQ)に供することにより、SDS-PAGE(CBB染色)上で単一になるまで精製することができた。 Thermococcus kodakaraensis DAD株をホスト株としたアーキオシン生合成関連遺伝子(queD,queE,queC,tgt,arcS(tgtA2):この順に遺伝子産物が働く)の破壊をサザン解析により確認した。さらに、すべてのアーキオシン生合成遺伝子破壊株の増殖特性(85℃(至適温度),93℃)を調べたところ、ΔQueD,Δtgt,ΔarcS株では両温度において、ホスト株と同様な増殖特性を示した。しかし、ΔqueE株では両温度においてホスト株に比べて増殖の悪化が認められ、ΔqueC株では、93℃においてのみ増殖の悪化が観察された。以上の結果から、アーキオシンはtRNAの安定化には寄与していないことが考えられた。さらにqueEとqueC遺伝子をそれぞれ欠失させた場合に、増殖の悪化が観察されqueD遺伝子を欠失させた場合の増殖特性はホスト株と同様であったことから、QueE、QueCはアーキオシン以外の(未知の)生合成経路にも関与しているのではないかと推測した。
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