結核菌は、ヒトに対して重篤な感染症である結核症を引き起こす病原菌である。結核菌に特異的な細胞壁構造や宿主との免疫応答に関する研究は古くから行われているものの、結核菌の病原性や生理機能の全容を解明するまでには至っていない。従って、新しい視点から結核菌の病原性や生理機能を明らかにする研究が求められている。そこで本研究課題では、結核菌が他の生物種とは異なるポリリン酸利用能を有していることに着目して、結核菌由来ポリリン酸関連酵素の酵素学的諸性質、立体構造、及び生体内での役割について詳細な解析を行うことにより、結核菌の病原性や生理機能に関する新しい知見を得ることを目的としている。また、本研究で得られた知見を応用して新規抗結核薬の開発につなげることも目標としている。
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