研究概要 |
酵母Hansenula polymorphaの変異体ライブラリより単離した、硝酸を窒素源として利用できない変異株(nit, 47株)、モリブデンと同属元素のタングステンに耐性をもつ変異株(wr,55株)について解析した。変異株のモリブデン吸収能力を、培地のモリブデン減少速度により評価分類することで、高速輸送、高親和性輸送、誘導性輸送の存在が予想された。 また、当初予定していた連携研究者のもつ近縁種酵母ゲノム情報が利用できなくなったため、あらたに、ピロシーケンス法で酵母Hansenula polymorpha JCM3620のドラフトゲノムを決定し、遺伝子破壊ベクターでタグされた配列と比較した。その結果、複数の変異株でタグされる遺伝子座が約40箇所見出された。 並行して、植物のモリブデン輪送体遺伝子も検索した。具体的には、個別管理しているAmethyst遺伝子961種類を、CMVプロモータを持つ動物細胞発現ベクターに移植し、動物細胞発現用ライブラリを作製した。次に、総当たり発現スクリーニングの一例として、微量元素の一種であるモリブデンの細胞内濃度に影響する膜輸送体遺伝子を探索した。HEK293T培養細胞を宿主として、Amethyst膜輸送体とモリブデン酸可視化バイオプローブ(MolyProbe)を共発現させ、MolyProbeのFRET蛍光の経時変化を比較分類した。
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