Pseudomonas putida NBRC100650のdpkA(PP3591)遺伝子をPCRで増幅し、DpkAのカルボキシ末端に6xHisが付加するように、pET21a(+)ベクターのマルチクローニングサイト(MCS)に組み込んだプラスミドでEscherichia coli BL21(DE3)を形質転換した。アンピシリンを含むLB培地で形質転換体を一晩培養し、1mM IPTGを加えて発現誘導した。得られた培養菌体を1mM PMSFを含んだTris-HCl(pH7.2)に懸濁して超音波破砕し、遠心分離後の上清中にN-メチル-L-アミノ酸脱水素酵素活性が検出されたことから、DpkAが可溶性画分に発現していることが示された。本粗酵素液をニッケルNTAカラムクロマトグラフィーに供し、常法にて精製酵素を得た。精製酵素の安定性を調べたところ、25℃で30分間処理すると86%の残存活性を示し、30℃では59%、35℃では20%、40℃では4.6%の残存活性を示した。これらの熱に対するDpkAの安定性に関する知見は耐熱化酵素をスクリーニングするための条件設定に利用できる。その他にも塩酸グアニジン濃度、NaCl濃度、エタノール濃度がDpkAに及ぼす影響についても調べた。 DpkAと33%の一次構造類似度を示すThermus thermophilus HB8のtthb078遺伝子産物の分子機能を周辺遺伝子などから推測した。T. thermophilus HB8のゲノムDNAを鋳型にして、tthb078遺伝子をPCRで増幅し、pET21a(+)ベグターのMCSに組み込んだプラスミドを構築した。このプラスミドを保持するE. coli BL21(DE3)を培養し、IPTGで発現誘導して、可溶性画分にtthb078遺伝子産物と考えられるタンパク質が発現しているのをSDS-PAGEで確認した。
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