研究概要 |
平成21年度に確立した条件でPseudomonas putida NBRC100650のdpkA遺伝子を鋳型にしたエラープローンPCRを行った。ランダム変異を導入したdpkA遺伝子を連結したpUC18で大腸菌株を形質転換し、変異型酵素遺伝子を発現する形質転換株を2,447株作成した。この中から野生型酵素よりも耐熱性が高い変異型酵素を発現する形質転換体を2株(No.331株、No.6株)選抜した。dpkA発現株から野生型酵素を、また、No.331株とNo.6株からそれぞれ変異型酵素#331と#6を均一に精製して、性質を比較した。45℃、30分間の熱処理を行った場合、野生型酵素はほぼ完全に失活するのに対して、#331は35%、#6は74%の残存活性を示した。pHの変化に対する安定性についても調べたところ、野生型酵素はpH6.5~9.0で80%以上の残存活性を示したのに対して、#331はpH5.5~10.5、#6はpH6.0~11で80%以上の残存活性を示した。基質特異性について検討したところ、野生型酵素、#331、#6の3種類ともピルビン酸、フェニルピルビン酸や2-オキソカプロン酸といった比較的大きな側鎖を持つケト酸など、様々な2-ケト酸に作用した。一方、アミンに対しては、野生型酵素、#331、#6の3種類ともメチルアミンが最も良い基質となり、アンモニアには作用しなかった。さらに、野生型酵素、#331、#6の3種類ともNADPHを良い補酵素とし、NADHを補酵素とした場合にも僅かに反応は進行した。以上の結果から、N-メチル-L-アミノ酸合成への応用が期待される耐熱型DpkAの作製に成功したことがわかった。
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