植物が産生するテルペンは、植物に耐熱性、光防護作用、抗菌・抗酸化作用をもたらし、また他の植物、益虫、害虫とのコミュニケーションに利用されている。また食品の質を決める重要な因子でもある。本年度は、柑橘等の植物から、複数のテルペン合成酵素、テルペンの前駆体であるプレニル二リン酸を合成する酵素のクローニングと酵素の基質特異性、産物特異性の同定を行った。1) ユズよりクローニングしたNPP依存性3-Carene/リナロール合成酵素のアミノ酸部位特異的変異体を作成し、GPP依存性型に変化する変異体を得た。また、合成基質を用い、天然型の基質からはえられないモノテルペンが生成することを明らかにした。2) モノテルペンアルコールを酸化する酵素を4種類クローニングした。モノテルペンアルコールを含む多種の基質に対する特異性を決定し、2種類はシトラールの合成、1種はリグニンの合成に関与しうる酵素であることを明らかにした。3) 静岡特産の茶より3種類のテルペン合成酵素のクローニングに成功した。現在基質特異性の解析を行っている。
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