研究課題
本年度はカンナビノイドの骨格形成を触媒する酵素、すなわちポリケタイド合成酵素およびプレニル転位酵素の遺伝子をクローニングする事を目的として、以下の各種検討を行った。まずカンナビノイドを生産するアサの花部由来mRNAをもとにcDNAを調製し、cDNAライブラリーを作製した。得られたクローン約500個についてランダムシークエンスを行い、決定した配列(EST)についてポリケタイド合成酵素およびプレニル転位酵素の予想される構造的特徴と比較したが、これまで本検討により両酵素にアノテートされるクローンは得られていない。一方、ポリケタイド合成酵素については既知の酵素と高いホモロジーを示す可能性を考慮し、既知酵素の保存配列を基にプライマーを合成して重複PCRを行う事で、アサよりolivetol synthaseと称する新規酵素のクローニングを行った。大腸菌で発現したolivetol synthaseはカンナビノイドのフェノール骨格であるolivetolを合成したことから、本酵素はカンナビノイド生合成経路の酵素であると考えられた。また近年の研究から、微生物や植物などに存在するubiAファミリーに属するプレニル転位酵素が、植物二次代謝成分の生合成に関与する例が報告されている事から、ubiAファミリーに保存された配列を基にプライマーを合成し、重複PCRを行う事で、アサに数種のプレニル転位酵素が発現している事を確認した。
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Acta Cryst., F 64
ページ: 217-220
Drug Discoveries and Therapeutics 2, Suppl
ページ: 39-39