| 研究概要 |
平成20年度は斜面安定解析式(無限長斜面の式)の無次元化を行うことで, 崩壊発生予測を行う上で重要なパラメータの特定を行った。その結果, 無限長斜面の式は非粘着性ですベり面上の飽和帯水層がない条件に対する安定条件が基本で, すベり面上の地下水深および粘着力の安定性に対する寄与がそれぞれ線形に安全率の減少・増加率として評価されることを示した。これら地下水深, 粘着力の寄与度はそれぞれ無次元パラメータという形で表されており, これらの大きさを評価することが, 山地流域を対象とした崩壊発生予測につながると考えられる。さらに, 浸透流解析式を検討した結果,降雨パターンや土層構造が崩壊の発生特性(発生位置, すベり面の深さ)に大きく影響していることを示した。以上のように, 平成20年度の研究では, 崩壊発生予測手法について, 物理的な考察をもとにその基礎をつくることができた。
また, 実際に現地を対象とした崩壊発生予測を行うためには, 現地データを収集する手法の確立が不可欠である。そこで, GIS(地理情報システム)により地形を解析することで現地の土砂・水の移動に関する基礎データを広域的に収集・解析する手法の検討を行った。さらには実際に現地(筑波大学農林技術センター井川演習林)での雨量・流量観測を開始し, 一般的に観測が困難な山地流域での観測手法の確立を目指した。このようにして得られた研究成果の一部は, 既に学会等で公表を行った。
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