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2009 年度 実績報告書

山地流域を対象とした崩壊発生予測手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20780109
研究機関筑波大学

研究代表者

今泉 文寿  筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教 (80378918)

キーワード表層崩壊 / 無限長斜面 / 浸透流解析 / 山地流域 / 鉛直浸透 / 安定解析
研究概要

平成21年度は前年度から引き続き筑波大学農林技術センター井川演習林内で水文観測を行うと共にGIS(地理情報システム)を用いた地形の解析手法についての検討を行った。また,井川演習林内における過去の崩壊の発生状況について,空中写真判読と現地調査によって調べた。その結果,井川演習林内に存在する崩壊は深さにかなりのばらつきがみられることが明らかになった。
上記の調査と平行して,地下水の鉛直浸透に関する基礎方程式について検討することで,間隙水圧(土層中で発達し崩壊を引き起こす原因となる水圧)の発達に支配的な役割を果たす要因を特定し,間隙水圧の推定モデルを作成した。その結果,間隙水圧の大きさには地層の透水性そのものよりも地層境界における透水性の変化率が重要であることを明らかにし,特に地層境界における透水性の変化率が小さい場合は間隙水圧の値が静水圧よりもかなり低いことを示した。この間隙水圧の推定モデルを無限長斜面の安定解析式に適用し,様々な降雨波形を実際に与えることで,降雨波形と崩壊の発生特性の関係性について検討した。その結果,短期間の強雨がもたらされると浅い地層境界において崩壊が発生する可能性が高く,長期間の降雨がもたらされると深い地層境界で崩壊が発生する可能性が高い傾向がみられた。このことが,井川演習林内において様々な深さの崩壊が存在する原因のひとつとなった可能性がある。
本研究によって崩壊の発生に影響を及ぼす支配的な要因を特定することができ,また本研究で検討されたモデルにより,現地で発生する崩壊の発生特性を説明できる可能性が示された。そのため,本研究成果は広域の山地流域を対象とした崩壊発生予測の構築に大きく寄与すると考えられる。本研究で得られた研究成果の一部は,既に学会等で公表を行った。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Channel initiation by surface and subsurface flows in a steep catchment of the Akaishi Mountains, Japan2010

    • 著者名/発表者名
      Fumitoshi IMAIZUMI, Tsuyoshi HATTANJI, Yuichi S.HAYAKAWA
    • 雑誌名

      Geomorphology 115

      ページ: 32-42

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 表層崩壊の無次元発生支配パラメータと崩壊機構2009

    • 著者名/発表者名
      今泉文寿, 眞板秀二, 宮本邦明
    • 雑誌名

      砂防学会誌 62(2)

      ページ: 13-20

    • 査読あり
  • [学会発表] 山岳地での凍結融解による土砂生産量の計測手法の検討2009

    • 著者名/発表者名
      松田悟・今泉文寿・宮本邦明
    • 学会等名
      日本森林学会中部支部
    • 発表場所
      名古屋大学(名古屋市)
    • 年月日
      2009-10-10
  • [学会発表] 降雨時における地下水位の変動と表層崩壊の発生に関する考察2009

    • 著者名/発表者名
      今泉文寿・眞板秀二・宮本邦明
    • 学会等名
      平成21年度砂防学会研究発表会
    • 発表場所
      アステールプラザ(広島市)
    • 年月日
      2009-05-27
  • [学会発表] 山岳地での凍結融解による土砂生産量の計測手法の検討2009

    • 著者名/発表者名
      松田悟・今泉文寿
    • 学会等名
      平成21年度砂防学会研究発表会
    • 発表場所
      アステールプラザ(広島市)
    • 年月日
      2009-05-27
  • [学会発表] Estimation of sediment supply rate by freeze-thaw in a large mountainous area in Japan2009

    • 著者名/発表者名
      Fumitoshi IMAIZUMI, Kenlo N.NASAHARA, Daizo TSUTSUMIi, Masaharu FUJITA, Kuniaki MIYAMOTO
    • 学会等名
      EGU General Assembly 2009
    • 発表場所
      AVC(オーストリア・ウィーン)
    • 年月日
      2009-04-21

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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