温室効果ガスであるメタン(CH4)と一酸化二窒素(N2O)について、どのような土壌がこれらのガスを吸収するか、あるいは放出するか、そしてその違いを制御する環境要因が何であるかを明らかにするため、簡易なトレーサー測定技術の開発を行っている。膜導入型質量分析計を組み立て、CH4とN2Oの測定に最適な分離条件、イオン化条件などの探索を行った。CH4とN2Oについては通常のIRMS測定と同等の濃度でトレーサー測定が可能となるチューニングを見いだし、培養容器など、実験環境のスケールについてもほぼ最適なセッティングがかたまり、現在15N2Oを用いて、gross測定の予備実験を開始したところである。現在のところ土壌からのN2O放出と比較してN2O吸収速度が小さく、grossN2O吸収速度の見積誤差が大きくなってしまう問題がある。そのため、15N2Oだけでなく、18OでラベルしたN2Oの利用が必要である可能性が出てきた。現在18OでラベルしたN2Oを発生させるための実験ラインを作成中であるが、発生に用いる18Oでラベルされた水が高価なため、ラベル濃度を90%にすることを当初目的としていたが、この濃度を10%程度に抑えることでどれだけ測定誤差が大きくなるかの見積を現在試算しているところである。また、一度脱窒菌を用いた高濃度の系をつくり、生成、吸収双方の速度が十分高いところで測定装置全体のパフォーマンスの見積を行う必要があり、現在、脱窒菌の培養に着手したところである。
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