研究概要 |
温室効果ガスであるメタンと一酸化二窒素について、どのような土壌がこれらのガスを吸収するか、あるいは放出するか、そしてその違いを制御する環境要因が何であるかを明らかにするため、簡易なトレーサー測定技術の開発を行った。メタンについては13CH4トレーサーの測定が可能となり、いくつかの土壌についてメタン吸収と生成の同時測定を試みた。残念ながら測定に供したサンプルについてはメタン生成が起こっておらず、今後湿地土壌のようなメタン生成が活発である土壌について測定を行う予定である。一酸化二窒素については15N20に関しては昨年中に測定可能となったが、土壌から発生するNOによるm/z31の妨害が問題であった。現在のところ、土壌培養時に180でラベルした土壌を添加することにより、N20およびNOの質量数を変化させることで、土壌から発生したN20(180に富む)と吸収する添加したN20(15Nに富む)の分離を行っており、ある程度の成果を得た。しかし、質量数が30,31,32,33,44,45,46,47,48という大変多くのN20アイソトポマーの測定結果を解析することが必要であり、現在まで、これだけのアイソトポマー種の濃度測定の結果を解析した例はない。そのため、これらの測定結果を15Nおよび180トレーサー濃度に変換するための予備実験を引き続いて行っており、この結果を利用して定式化を進め、最終的には論文にまとめる予定である。
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