研究課題
本課題では大規模森林伐採の影響を外部循環・内部循環を定量的に評価することにより、森林伐採の長期影響評価モデルを構築することを目的としている。22年度は昨年度に引き続き、12haの伐採流域(スギ植林・放置)と30haの森林流域の渓流水質を1ヶ月に一度の間隔で測定した。その結果、伐採後5年が経過した22年度は、伐採流域と森林流域の渓流水の硝酸濃度の違いがほとんど見られなくなった。また22年度は伐採後の長期的な物質循環プロセスの変化を明らかにするために設置したスギ人工林と常緑広葉樹林の時系列プロットにおける毎木調査、植物体・土壌の炭素・窒素蓄積量の定量化、リタートラップによる養分還元量の定量化を進めた。さらにモデルのインプットデータとなる気象条件・土壌水分・地温などの環境条件の測定やモデルのパラメーターの観測を引き続き行った。ここまでの研究により、調査流域は、未熟土であるため土壌中の炭素窒素含量が非常に小さいにも関わらず、樹木の一次生産量、土壌窒素無機化速度、樹木の窒素吸収量など窒素循環に関わるパラメーターが、人工林と広葉樹林ともに未熟土以外の同一気候帯の森林と大差ないことが明らかとなった。一方で伐採に伴う硝酸流出量は、ピーク時の濃度が伐採前の2~3倍程度であることや約5年程度で元の水準に回復することなどから、他の温帯域での結果に比べて小さいことが明らかとなった。
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Journal of Forest Research
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鹿児島大学農学部演習林研究報告
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