研究の最終目標は、野外観測と3次元土壌CO2ガス発生・移動シミュレーションモデルを通じて、土壌呼吸の地下過程を解明することにある。本研究の目的はそのうち、室内実験を通じて3次元土壌CO2ガス動態シミュレーションモデルを作成することである。 ガスの移動を表現する基礎式であるフィックの法則(速度式)と質量保存則を1次元から3次元への拡張し、C言語でプログラム化を行った。方程式の差分化の際には陰解法を用い、行列の解法には日本SGIの非対称疎行列直接解法用のDPSLDUサブルーチンを用いた。モデルの動作を確認するため、上端を大気に解放した1m×1m×1mのチャンバーに砂を充填し、中心からCO2が発生するという条件で、モデル計算を行った。時間刻みは360秒、空間刻みは2cmとし、108000秒間(30時間)のガスの移動と表面からのガスの放出量およびその分布をシミュレートした。出力結果をハワイ大学で開発されたGMTソフトウエアを用いて可視化し、それを結合することでガス移動を動的に可視化した。計算には農林水産省の科学技術計算システムの大型計算機を用いて行ったが、上記の計算に約3時間半かかった。今後、より大型カラムのシミュレーションや長時間のシミュレーションを行うためには、プログラムの高速化が必要となる。
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