マレーシア、Selangor州Ayer Hitam森林保護区内の二次林において、林冠に達した二次林樹種を伐採した後に植栽したフタバガキ科樹種Dipterocaipus baudii(Db)とNeobalanocarpus heimii(Nh)の2種について、植栽苗の光環境、樹高成長、直径成長、樹型を調べ比較した。植栽2年7ヶ月後(2008年6月)の光環境で苗の成長を比較したところ、Db、Nhでは有意な差は見られなかった。幹を比較した場合Db、Nhともに暗い光環境になるほど細長い幹になったが、樹型に違いは見られなかった。しかし、植栽初期の光環境で解析した結果、Db、Nhともに中間的な光で厚い樹冠になった。Dbは暗い光環境と明るい光環境の苗が横に広がる樹冠になったが、Nhでは光環境によって樹冠が広がることはなかった。これらの結果からDb、Nh ともに植栽初期の光環境がその後の成長や樹冠のかたちに影響していることが示唆された。 希少種であるShorea pelata(Sp)の苗を暗環境下から強光下に移すと、クロロフィルの破壊と光阻害が生じ光合成速度が低下した。その後、新しく厚い葉を展葉させたが、低い光合成速度、クロロフィル量、気孔開度で、高い呼吸速度を示した。Spは強光に適した葉を展葉させたが、低いクロロフィル量と気孔開度、高い呼吸速度のために見かけの光合成速度を制限している可能性が示唆された。
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