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2008 年度 実績報告書

ヤツメウナギ類における成熟機構解明のための分子遺伝学的及び生態学的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 20780136
研究機関富山大学

研究代表者

山崎 裕治  富山大学, 大学院・理工学研究部(理学), 准教授 (30332654)

キーワードヤツメウナギ / 進化 / 種分化 / 遺伝子発現 / 性成熟 / 成長 / 生活史多型 / 環境
研究概要

近年資源量減少が懸念されているヤツメウナギ類の保護を行うために, 性成熟機構の解明を目的とした分子遺伝学的研究を行った. 河川において, カワヤツメの回遊型と河川型個体, およびスナヤツメ北方種の河川型個体について, 幼生, 変態, そして成熟の各成長段階における個体を採集し, 現地で脳を摘出・固定した. そして実験室においてtotal RNAを抽出し, mRNAを鋳型とした1本鎖cDNAを合成した. ここからランダムプライマーを用いて2本鎖cDNAを合成を行い, 増幅産物に蛍光標識を施した上でDifferential Displayを行った. その結果, 成長段階, 特に変態と成熟の段階において特異的に発現している遺伝子が検出された. また, 同じカワヤツメでも生活史の異なる個体間では変態時期における遺伝子発現パタンに差異が認められた. これと同時にヤツメウナギ類の既知領域の遺伝子解析を行い, 集団構造の一部を解明した.
一方, ヤツメウナギ類の変態や性成熟決定に影響を与える生態的要因および環境要因を明らかにするために, 環境要因の異なるスナヤツメ北方種の生息水域において, 定期的な生態調査を実施した. この際, エレクトロフィッシャーを用いて効果的に採集を行うと同時に, 採集個体については, 計測後に個体標識を付けて現地に放流した. その結果, 生息地の水温が幼生個体の成長に影響を与えていることが明らかになった. このうち成長が悪い水域の個体は, 成熟時の体サイズが小さく, 成熟までに要する年数も多いことが示唆された. このためヤツメウナギ類の性成熟の決定には, 幼生期の成長パタンやそれに影響を与える水温が関与していることが推察された.
これらの成果は, ヤツメウナギ類の保護や種分化の解明に資するにとどまらず, 脊椎動物における性成熟機構の進化の解明にも重要な示唆を与えるものと期待される.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Disturbance of the indigenous gene pool of the threatened brook lamprey Lethenteron sp. S by intraspecific introgression and habitat fragmentation2009

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama, R., Yamano, A., Takeshima, H., Nishida, M., and, Yamazaki, Y.
    • 雑誌名

      Conservation Genetics 10

      ページ: 29-43

    • 査読あり
  • [雑誌論文] AFLP assessment of genetic diversity of Pacific lamprey2008

    • 著者名/発表者名
      Lin, B., Yamazaki Y. 他5名
    • 雑誌名

      North American Journal of Fisheries Management 28

      ページ: 1182-1193

    • 査読あり
  • [学会発表] 同一水系内地点間におけるスナヤツメ北方種の繁殖形質の変異2008

    • 著者名/発表者名
      山野歩美・山崎裕治
    • 学会等名
      2008年度日本魚類学会
    • 発表場所
      愛媛大学(愛媛県松山市)
    • 年月日
      20080920-21
  • [学会発表] スナヤツメ隠蔽種群における初期発生の比較と孵化のメカニズム2008

    • 著者名/発表者名
      長井輝美・山野歩美・山崎裕治
    • 学会等名
      2008年度日本魚類学会
    • 発表場所
      愛媛大学(愛媛県松山市)
    • 年月日
      20080920-21

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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