研究概要 |
人類は古くより河口・沿岸域を生活の糧(魚介類)を得る場や憩いの場として利用してきた.水産生物の生産の場としての河口・沿岸域では,1)河川を通じた陸域からの栄養供給が多いため,沖合域に比べて生産力が極めて高い,2)河川流量(主として降水量)と潮汐の変動により比較的短い時間スケールで大きな環境変動(水温,塩分等)が生じるという特徴を備える.沿岸・河口域の高い生産力を有効かつ持続的に利用することは,人類がすでに抱えている環境・食糧問題を解決するうえでも極めて重要な要素であり,そのためには,沿岸・河口域における生物群集の主要な構成要素である魚類の生産を支える仕組みを理解することが不可欠である.本研究では,「身近なブラックボックス」とも言える河口域に焦点をあて,魚類生産機構の解明を目的として以下の課題を進める.1)河口域における魚類生産に対する陸域起源物質の貢献度を定量評価する.2)短い時間スケールの環境変動(河川流量,潮汐)が魚類生産に及ぼす影響を明らかにする.3)魚類生産構造を,隣接する天然・人口河川システム間で比較する.
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