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2009 年度 実績報告書

台風が沿岸生態系の環境変動と生物生産に及ぼす影響の評価

研究課題

研究課題/領域番号 20780146
研究機関創価大学

研究代表者

宮口 英夫  創価大学, 工学部・環境共生工学科, 助教 (90460089)

キーワード台風 / 環境変動 / 沿岸生態系 / 生物生産 / 相模湾
研究概要

本年は、2008年に相模湾を直撃ならびに接近した台風13号(SINLAKU)について、台風接近時からの海洋環境と生物群集の動態を調査した。研究計画通りに試料採集を行うことができた台風13号(SINLAKU)について、台風接近時からの海洋環境と生物群集の動態を調査し、台風通過の生物生産に及ぼす影響を評価することを目的とした。
台風最接近時には約100mm激しい豪雨が見られ、約10PSUの急激な塩分低下を引き起こした。栄養塩濃度は、台風通過直後に、本調査海域の同時期に見られる通常値に比べ、硝酸+亜硝酸は約3倍、燐酸は約3倍、珪酸は約7倍、増加した。台風に伴う豪雨-暴風によって、陸水の流入や海水の鉛直混合により栄養塩の供給が起こり、さらに、台風通過後5-7日後に、全栄養塩濃度の減少が見られ、植物プランクトン生産に栄養塩が使われたことが考えられた。クロロフィルα量は、台風通過直後は低い値を示していたが、3-5日後に、同時期の通常値に比べ約5倍の、最大値12mg m^<-3>を示した。クロロフィルα量の変動には10-180μmの大型植物プランクトンの分画が寄与していた。植物プランクトン群集構造に関しては、台風通過前は珪藻Skeletonema costatumが優占し、台風通過直後(8月19-20日)に珪藻S. costatum、Pseudo-nitzschia multistriata、Thalasionema nitzchioides、Leptocylindrus minimus、渦鞭毛藻Protoperidinium minutum、Prorocentrum gracileなど比較的多くの種で大部分を占めた。第1ピーク時にS. costatumが優占した後、S. costatumの減少に伴い、Chaetoceros tenuissimusが優占した。第2ピーク以降はLeptocylindrus danicusが優占した。以上のように、台風通過後の群集構造にはS. costatum、C. tenuissimus、L. danicusが大きく寄与しており、これら3種による優占種の変遷がみられた。MDSプロットによる解析の結果、A(8月16-18日;台風通過前、8月25-27日;最大細胞密度時)、B(8月19,20日;台風通過直後)、C(8月21日;低細胞密度1)、D(8月28日;低細胞密度2)、E(8月29-30日;細胞密度第2ピーク時)に分類された。台風通過に伴う植物プランクトン群集構造は、A→B→C→D→A→Eと変遷していったと考えられた。台風通過により、植物プランクトンの群集構造は、一時的に激変したが、約5日後には台風通過前の群集構造に戻った。過去観測した台風の結果と同様の傾向が見られた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 相模湾沿岸域における台風通過による海洋環境の変動と生物生産に及ぼす影響~1.一次生産量について~2009

    • 著者名/発表者名
      宮口英夫・土屋健司・森健一・田口哲・菊池知彦・戸田龍樹
    • 学会等名
      2009年度日本海洋学会春季大会
    • 発表場所
      東京大学本郷キャンパス
    • 年月日
      2009-04-08
  • [学会発表] 相模湾沿岸域における台風通過による海洋環境の変動と生物生産に及ぼす影響~2.植物プランクトンの群集構造について~2009

    • 著者名/発表者名
      土屋健司・宮口英夫・森健一・田口哲・菊池知彦・戸田龍樹
    • 学会等名
      2009年度日本海洋学会春季大会
    • 発表場所
      東京大学本郷キャンパス
    • 年月日
      2009-04-08

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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