本課題は、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)が乳児の生育に与える影響を、動物実験とマイクロアレイデータベースの解析を通して明らかにし、魚油の新たな健康機能を証明することを目的とし実施した。その結果、脳は他の臓器くらべ変動は少ないものの、母親のn-3系脂肪酸の不足の影響をうけることが示された。さらに、腎臓はn-3系脂肪酸が不足した状態で上昇するn-6系ドコサペンタエン酸の増加が大きいことから、今後、腎臓とLC-PUFA機能の関係をより詳細に検討していく必要があることが明らかになった。また、乳児期にはn-3系脂肪酸が不足した状態では、α-リノレン酸はn-3 系脂肪酸源としての効果が弱く、乳幼児においては魚油などに多く含まれるDHAが有効であることが示された。マイクロアレイデータのメタ解析は統一されたデータ数がそろわず、時期尚早であったが、今後さらなる掲載数の増加が予想されるため、データの収載状況を見極め、さらなる検討をつづけていきたい。
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