今年度は、研究の中心的な対象に設定したこんにゃく産業において着実、かつ急速に進展している国際化の現状把握とそのメカニズム解明に関する調査を重点的に行った。 第1に、主要な輸入自である中国において現地調査を実施し、中国におけるこんにゃく産業(生産・加工・流通)の現地調査を行った。具体的な調査対象は、中国内の製品製造業者の動向(国内向け、対日輸出向け)、こんにゃく粉加工業者、コンニャクイモ産地の地方行政、栽培技術研究機関である。本調査によって、中国においては、(1)著しい技術革新と構造変化により原料や製品の品質が向上していること、ただし同時に、(2)近年の資材価格や人件費の高騰により、原料や製品の価格が高騰し、不安定になっていること、の2点が明らかになった 第2に、日本全国のこんにゃく製造業者を対象に、外国産製品の取扱状況と意識についてのアンケート調査を実施した。その結果、(1)国内製造業者の約半数が外国産製品に特化するのではなく、あくまでも経営の一部分として扱っていること、また、(2)調達先は「中国」、製品種類は「小結糸こんにゃく」に極度に集中していること、(3)外国産製品の長所として、「低価格」、「(価格の割には)高品質」、「品揃え機能の充実」が評価されていること、の3点が解明した。 以上の成果を基に、2年目は地域農業再編の方向性を検討する予定であるが、その際のこんにゃくとの比較研究の材料として用いる予定の沖縄県のサトウキビ生産についての現地調査もあわせて実施した。
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