本研究の課題は青果物流通過程からの生ごみ排出について、チャネル単位で実態調査と比較分析を行うことである。初年度の課題は、大規模卸売市場を中心とするフィールド調査とその整理・分析を中心的課題であり、東京都中央卸売市場を中心としたチャネルでそれを実施した。その結果、次の2点が明らかになった。 第1は、生ごみ発生量の市場ごとのばらつきについてである。東京都中央卸売市場は青果取り扱い9市場のいずれもが大型市場といえる規模であるが、それらの廃棄物発生率には市場ごとにかなりのばらつきが見られる。この背景としては、当該市場に入場する仲卸業者の営業形態の相違、つまりカット野菜やパック野菜の納入を主としているかどうかに規定されている可能性があることが指摘できる。 第2に、生ごみの卸売市場におけるリサイクル率向上に向けた課題である。東京都中央卸売市場を中心としたチャネルでは、排出される生ごみの再生処理として、メタン発酵を通じた発電と熱回収、飼料化が行われている。これまでの生ごみリサイクルにおいては、発生した生ごみの分別収集が最大の課題となっていた。東京都中央卸売市場でもそれは依然として大きな課題ではあるが、再生処理工場の技術開発もあり、かつての状況と比べれば、多少の夾雑物の混入は許容できるようになってきている。今日、深刻度を増しているのは処理コスト問題である。これらの再生処理は都の焼却処理よりも処理料金が高くなる傾向にあり、入場業者の経営環境が厳しくなる中、これの負担をできる業界団体は少なくなっていく可能性がある。 卸売市場を取り巻く環境が厳しくなる中、社会が卸売市場に対しこれからも食品リサイクルのポイントとしての役割を期待するのであれば、社会全体において費用の負担などに係わる仕組み作りが必要になるといえる。
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