研究概要 |
研究の対象地である北海道十勝平野の土壌の不凍水量の特徴を明らかにするため, 同地点に分布する土壌(有機質火山灰土, 埴壌土)について, TDR土壌水分計で不凍水量を測定した。その結果, -10℃以下でも不凍水量は20%前後存在し, -2℃まで温度を上昇させても不凍水量は変化しなかった。また-2℃を超えると不凍水量は増加し始め, -0.6〜-0.4℃を超えると急激に増加した。初期水分が多いほど不凍水量が多いことが顕著に表れていた。実験結果より, 初期水分量が多く凍土内の温度が-2℃以下の場合, 氷の量が多いために融雪水の浸透は抑制されると考えられる。また初期水分量が少ない, あるいは初期水分が多くとも, 凍土内の温度が-2℃以上の場合, 氷の量は少なくなるため, 融雪水の浸透が卓越することが考えられた。 次に, 不凍水のメカニズムを明らかにするため, 砂質土を用いてKCl溶液を添加することにより, 溶質が土壌水(不凍水)の凝固点に及ぼす影響について調べた。その結果, EC_<1:5>が1dS/m増えると,凝固点が3.4℃〜5.9℃下がり, その傾向は水分量の減少に伴って大きくなることが明らかになった。また, KClの濃度が1mol/L増えるに従って, 浸透ポテンシャルが2.98MPa低下したが, 水分量の減少に伴って, 浸透ポテンシャルの影響はマトリックポテンシャルに比べて小さくなった。
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