1 シンクとなる果実部や根部を測定対象とした場合、トレーサ(^<11>Cでラベルされた光合成産物)の到達量や時刻に関する知見が少ないため、実験条件等の最適化を行った。 (1)定量化を目的し、イメージング装置が持つ特性(ダイナミックレンジ・係数率補正・ポジトロン核子の飛程等)を考慮したRI投与量と測定環境を最適化した。定量的な単位系への変換係数をファントム実験により算出した。 (2)供試植物の温度・光・湿度等の環境条件を制御できる装置群を配置し、制御状況を検証した。特に光合成機能は光環境に対して敏感であるため、葉に一様な光量を照射でき、他の測定条件を阻害しない光源を開発した。 (3)対象植物に^<11>C0_2を安全かつ定量的に供給するためのシステムを構築した。 2 葉や茎に比べ、3次元的構造を持つ果実部内のイメージングには小動物用PETを用いた実験が必須であり、そのための測定環境の検証を行った。PETISと異なり植物研究用の装置ではないため、計測環境を調整するための簡便な光量、温度、大気組成の制御機構を設計した。画像再構成条件等の最適化には、同サイズのマウス撮像データを用いることとした。 3 原子力機構で栽培したタバコ、ダイズ、シロイナズナを対象植物としたPETIS実験を行い、様々な環境下における炭素動態を示す、二次元動画像データを取得した。コンパートメントモデルを用いた動態解析により各器官の二酸化炭素固定速度、光合成産物送り出し率、積み卸し率、移行速度、蓄積率といった生理機能を定量した。また、生理機能の可視化および生理機能の環境応答に関する知見を蓄積するため、栽培時に光合成活性測定装置や成長記録など既存の手法による生理機能値を元に、本解析手法の妥当性を検証した。
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