研究概要 |
本研究は,「早期離乳は子牛の発育停滞を引き起こす」という問題の改善に向けた基礎的知見を得るために,消化管ホルモンであるGLP-1とghrelinに着目し,消化吸収機構の変化に伴う血中代謝産物の変化およびGHやインスリンなどの主要代謝ホルモンの変化との相互関係を明らかにすることを目的としている。昨年度は,離乳前の主要吸収エネルギー源であるグルコースと離乳後のエネルギー源である揮発性脂肪酸がGLP-1とghrelin分泌に及ぼす影響を検討した。結果,子牛のこれらホルモン分泌に対して揮発性脂肪酸は,生来的影響することを明らかにした。そこで本年度は,GLP-1およびghrelinのインスリンおよびGH分泌作用が離乳前後で変化するかについて検討し,以下の成果を得た。 1.GLP-1のインスリン分泌作用は,離乳前と比較し離乳後に強まる。 2.GhrelinのGH分泌作用は,離乳前と比較し離乳後に強まる。 以上から,これら消化管ホルモンは,単胃動物的た消化吸収形態である離乳前ではその作用が弱く,反芻胃に依存した消化吸収形態への変化と共にその作用が強まることが明らかとなった。
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