不飽和脂肪酸は血中コレステロール値の増加を抑える効果があることなどから、ウシの育種改良において、牛肉内脂肪の脂肪酸組成が注目されている。我々は、これまでの研究で、SCD、SREBP、FASNの3遺伝子内の変異が、黒毛和種における脂肪組織の不飽和脂肪酸含有量に影響することを報告した。本研究では、脂肪酸代謝に関わっていると考えられる7つの遺伝子について、新たに多型探索を行い、脂肪酸組成に対する影響について調査した。FABP4、LXRα、Cyt b5、ACSL1、ACSL4、DGAT 2、ACACAに着目し、翻訳領域の塩基配列決定と多型探索を行った結果、14のSNPsを検出した。このうち、FABP4とLXRαにおいてアミノ酸置換を伴う多型が2つずつ同定された(FABP4 I74V及びV110M、LXRα G51E及びV133I)。これら4つの多型について脂肪酸組成および枝肉形質との関連について分析したところ、FABP4 I74VはC16:1の割合において高い有意差が観察され(P=0.0086)、I/Iホモ接合体がV/Vホモ接合体よりも0.51%高い値を示した。また、FABP4 I74Vの効果は相加的であり高い有意差が検出されたことから、種雄牛選抜における有効なDNAマーカーとなることが示唆された。
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