研究概要 |
さつま地鶏は、薩摩鶏とロードアイランドレッドを交雑して得られる銘柄鶏である。今年度は、昨年度開発したDigiTag2法によるニワトリSNPs解析システムを用いて、薩摩鶏とロードアイランドレッドを含む5鶏品種の解析を行い、品種鑑定の可能性を検討した。 供試材料は、薩摩鶏20、インギー鶏19、ロードアイランドレッド19、ブロイラー(コブ)17、レイヤー(デカルブXL)14の計5品種89羽のゲノムDNAであった。判定された遺伝子型から2個体聞の識別能力を表す総合同値確率を計算した。また、遺伝子型のデータから近隣結合法(NJ)による系統樹解析を行った。 DigiTag2解析の結果、1) 供試した89羽の個体識別ができた。2) 総合同値確率は8.00×10^<-20>と計算され、10^<19>羽程度のニワトリの識別が可能であることが示唆された。全世界のニワトリの飼養羽数が1.73×10^<10>羽(FAO,2008)であることから、現在の解析で十分な識別能を有することが示唆された。3) NJ系統樹は5集団がそれぞれ独立したクラスターを構成し、分類することが出来たので、SNPを用いた品種識別技術への応用の可能性が示唆された。また、ブロイラーとロードアイランドレッド、薩摩鶏が遺伝的に近く、インギーとレイヤーが離れて位置づけられた。 以上、ニワトリSNPs検出システムを確立し、鶏集団に利用できた。まだ供試数が少ない等の改良点があるものの、本システムを有効に利用すれば、鶏集団の遺伝構造の解析や遺伝的類縁関係、品種識別を効率的に行えるものと期待される。
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