研究概要 |
哺乳類の体細胞ではコンデンシンIとIIの2つのタイプが存在することが知られているが、卵母細胞におけるそれらの発現は調べられていなかった。申請者は、コンデンシンIとIIのサブユニットの動態をマウス卵母細胞の減数分裂過程において調べることにより、コンデンシンIとIIは共に減数分裂過程において発現しているが、体細胞分裂とは異なる時空間制御を受けることをこれまでに明らかにしてきた。また、各種のコンデンシンサブユニットに対する抗体を卵母細胞に顕微注入することにより、コンデンシンは減数分裂期のキネトコアの配向や染色体の凝縮・分離に関わることが示唆された。キネトコアの配向や染色体の形成・分離に異常が見られた。また、二価染色体形成過程におけるコヒーシンとコンデンシンの動態も調べた。現在、これらの結果をまとめた論文を作成中である。これと平行して、バイオインフォマティクス的手法により、減数分裂特異的な新規コヒーシンサブユニットRAD21Lを発見した。その動態を調べたところ、既存のどのコヒーシンサブユニットとも異なり、第一減数分裂前期にのみ特異的に発現することから、RAD21Lは、相同染色体間の結合に特化した機能を持つことが示唆された。また、RAD21Lは、他のコヒーシンサブユニットであるSMC3,STAG3,そしてSMC1α/SMC1βのどちらか一方と複合体を形成することを、免疫沈降実験により明らかにした。この結果をまとめて、論文として発表した(Lee and Hirano,J Cell Biol,2011)。
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