研究課題
本年度は、イヌフィラリアにおける蚊から宿主への侵入を誘導する候補因子の同定、および侵入に関与する動きと行動の解析を試みた。候補因子として、"宿主血液"、"宿主体温"、"蚊の刺し傷"の3種類を設定し、in vitroでの検証方法の確立と行動パターンの変化を検討した。寒天培地上に孔をあけ、フィラリア感染幼虫の反応を解析した結果、感染幼虫は孔を通じて寒天培地内へと侵入することが明らかとなった。また、走化性実験では、血液に対する正の走化性が示唆された。今後、パラメータとして温度を加えたときの侵入と走化性の変化を検証するとともに、宿主侵入に至る一連の行動様式を評価できるアッセイシステムの構築をおこなう予定である。イヌフィラリアの頭部神経構造(おもに感覚神経を中心とした)を可視下するため、C.elegansで一般的に用いられているDiI色素の神経細胞への取り込みをおこなったが、フィラリア感染幼虫では取り込みが確認できなかった。そのため、現在、神経伝達物質を抗体とした免疫染色法、あるいは感覚神経で特異的に発現している遺伝子をプローブとしたin situによる可視下の試み、および微分干渉顕微鏡を用いたC.elegansとの神経細胞の配置を比較している。これによってフィラリア感染幼虫の感覚神経の構造を同定し、レーザーによる神経細胞の破壊と行動変化との関連性から、イヌフィラリアの宿主侵入行動に伴う神経活動を明らかとする。
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Journal of Virological Methods 156(1-2)
ページ: 32-36
Parasites & Vectors (in press)