研究概要 |
本年度ではザンビアにおける研究設備および消耗品の整備を進めた。ザンビアで入手が難しい実験器具を揃え、各種試料からの核酸抽出、PCR等の実験が可能となった。Vero細胞の培養系も立ち上げることができたことから、ウイルスの分離、検出が来年度から可能となった。ザンビアでは、未だ多くの不明感染症があり、実際、2008年10月にも新種のArenavirusによる出血熱が発生した。培養分離によって未知ウイルスのスクリーニングが進むことが期待できる。 【ウイルスのスクリーニング】 本年度に採材されたサル(Chacma baboon,Vervet monkey)100頭の内10頭に関して、脾臓から抽出したRNAを用いてcDNA調製した。Dr. wang(ワシントン大学セントルイス)のとの共同研究で、マイクロアレイ(Virochip)、454シーケンサーを用いたウイルスの網羅的探索を行ったところ、simian immunodeficiency virus(SIV)の遺伝子断片を検出した。SIVはHuman acute lymphoblastic leukemia cell line(Molt-4 cell)で増殖させることが可能であることから、今後このウイルス分離および遺伝子比較等を試みる。 【バクテリア16SrRNAの検出と解析】 ザンビア各地で2006-2008(8月)までに採集された112頭のネズミ類について、肝臓からbacteria116Sの検出を試みた。その結果、2007年に首都ルサカ周辺の農場から採集されたネズミ3頭からQ熱の原因菌であるCoxiella-burnetiiが検出された。他の地方の村周辺で採集された試料からは感染症に関わる病原体は検出されなかったことから、首都周辺でのQ熱の感染が疑われる
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