研究概要 |
エボラウイルスのNPはゲノムRNAと結合し、螺旋状の複合体(NPヘリックス)を形成する。NPヘリックスはゲノムRNAの転写・複製を担うヌクレオカプシド複合体のコア構造を形成すると考えられるが、その詳細は明らかではない。本課題では、NPおよびNPヘリックスの生化学的性状および構造を明らかにすることで、ヌクレオカプシド形成機構ならびにゲノムRNAの転写・複製機構の解明に寄与することを目的とした。哺乳類細胞によるエボラウイルスタンパク質発現系を用いた本研究から、NPヘリックスの形成にはRNAが必要であること、NPヘリックスの構造には可塑性があること、さらに結合したRNAがNP-RNAに構造的可塑性を付与していることが明らかになった(Noda et al J Gen Virol,2010)。また、NPヘリックスからヌクレオカプシドが形成される時、ポリメラーゼ因子として存在するVP35とNPタンパク質の比が重要であること、VP35が大量に存在する条件下ではNPヘリックスが形成されないことが明らかになった。現在、クライオ電子顕微鏡を用いてNPヘリックスの立体構造解析を行っており、ヌクレオカプシドとNPヘリックスの構造比較を行っているところである。
|