B.gibsoni培養系に放射性同位体^<59>Feあるいは^<59>Feで標識したトランスフェリン(^<59>Fe-Tf)を添加し、直後、1時間、4時間後の赤血球への^<59>Fe取込みについて解析を行った。その結果、^<59>Feのみを添加した際の赤血球への鉄取込みは添加直後に開始され、その取込み率は感染赤血球および非感染赤血球の間に差は認められなかった。また^<59>Fe-Tfを添加した際の鉄取込みは感染赤血球および非感染赤血球において認められなかった。 次にFar Western Blot法により、B.gibsoni感染赤血球由来可溶性蛋白中に存在するトランスフェリンおよびラクトフェリン結合蛋白を解析した。その結果B.gibsoni感染赤血球に明らかな結合蛋白は確認されなかった。 以上の結果からB.gibsoniは、トキソプラズマやトリパノソーマとは異なり、鉄取込みにはトランスフェリンやラクトフェリンを利用しない可能性が示された。本研究で用いた原虫の増殖ステージはすべてメロゾイトであり、犬赤血球の能動的な鉄取込みのみに依存するものと考えられた。
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