研究課題
植物は温度や乾燥などの環境ストレスにさらされると、数多くの遺伝子の発現を誘導することが知られている。中でも顕著に誘導されるのが、LEA(Late Embryogenesis Abundant)タンパク質やハイドロフィリンに代表される親水性タンパク質である。これらのタンパク質の機能は長年不明であったが、タンパク質の保護、生体膜の安定化、あるいは浸透圧調節などに機能していると考えられている。最近の申請者らの研究により、ストレス誘導性の親水性タンパク質Cor15amにタンパク質保護活性があること、さらに基質タンパク質と直接相互作用できることが明らかになった。そこで、本研究ではCor15amタンパク質による基質タンパク質保護機構を解明することを目的に研究を行なった。まず、ルシフェラーゼを用いてCor15amに分子シャペロン活性があるかどうか調べた。その結果、Cor15amは変性したタンパク質をリフォールディングする活性は持たないことが判明した。そこで次に、乳酸脱水素酵素(LDH)を基質に試験管内アッセイ系を用いて、タンパク質凝集抑制効果を調べた。その結果、Cor15amタンパク質が凍結融解により引き起こされるタンパク質凝集を防ぐ機能があることを明らかにした。さらに、脱水や高温などのストレスにより引き起こされるタンパク質の変性を防ぐ効果もあることが明らかになった。これらの結果から、Cor15amによるタンパク質保護活性はリフォールディング活性によるものではなく、凝集抑制効果によるものであることが明らかになった。
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温度と生命システムの相関学(東海大学出版会) (印刷中)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 72
ページ: 1642-1645
Plant, Cell and Environment 31
ページ: 1470-1483