1. ポリADPリボシル化酵素PARP-1によるFOXO1制御機構の解明 FOXO1の新規結合因子としてPARP-1を同定した。PARP-1はFOXO1の細胞内局在や安定性には影響を与えなかったが、転写活性化能を顕著に抑制した。さらにRNAiやレスキュー実験の結果から、PARP-1はFOXO1の標的遺伝子であるp27の発現を抑制することにより、細胞増殖を調節していることが明らかになった。またPARP-1はFOXO1をポリADPリボシル化したが、この修飾はFOXO1の転写活性に影響を与えなかったことから、転写調節以外の機能に寄与している可能性が示唆された。 2. 線虫アルギニンメチル化酵素rmt-1の同定と機能解析 線虫の寿命決定メカニズムにおける「FOXO1のアルギニンメチル化制御の意義」を検証するため、まずPRMT1の線虫オルソログをデータベースから予測し、新規遺伝子としてrmt-1をクローニングした。生化学的実験から、RMT-1はヒトPRMT1と同様に非対称型のアルギニンジメチル化活性を有すること、またFOXO1の線虫オルソログであるDAF-16のAKTリン酸化コンセンサス配列のアルギニン残基をメチル化することが示された。また、RNAi法によりrmt-1をノックダウンする手技も確立しており、現在はrmt-1遺伝子の寿命への影響を検証している。
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