研究課題
本研究は、形質転換タバコを材料に用いて、同じ個体で細胞によって染色体数が異なる混数性という現象について、BACなどのゲノムツールを用いながら、エピジェネティクスとの関連を追求することを目的としている。平成21年度は、前年度までに作製した「BACライブラリー」と「多数の押しつぶし標本」を用いて、予定通りBAC FISHを遂行し、Sゲノム・Tゲノム特異的なBACクローンを中心に選抜でき、それらを用いて混数性に関わるゲノム特異性も調べた。さらに、代表的なゲノム特異的BACクローンの塩基配列を次世代シークエンスにより決定した。また、「in-situ nick translation法」をタバコ根端分裂細胞に適用し、最適条件を決定することができ、この方法を用いることにより、混数性個体では正常個体(非形質転換体)と比べて、染色体全体に渡ってメチル化程度が低下していることが示唆された。つまり、予想通りエピジェネティックスな変化が混数性に関係している可能性が示されたため、今後はヒストン修飾などについても注目して解析する予定である。遺伝解析としては、マーカー系統との交配結果から「混数性が確かに受精を経て遺伝している」ことが確認できた。従って、この混数性現象は遺伝していること、かつエピジェネティクスと関連していることが明らかになったことから、分子遺伝学的に大変興味深い。平成22年度以降は、引き続き、直接混数性を引き起こしている核因子についてエピジェネティクスな観点も取り入れて解明していきたい。
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