研究概要 |
脊椎動物の前後軸に沿った繰り返し構造は、発生期に一過性に現れる体節の等間隔パターンによって規定される。この等間隔パターンは、胎仔の尾部に存在する未分節中胚葉(presomitic mesoderm、PSM)が一定時間(マウス120分、ゼブラフィッシュ30分)ごとに括れ切れることによって形成される。すなわち体節形成は、時間的周期性を利用した形態形成として位置づけられる。そこで本研究では、この体節形成をモデルとして、時間情報を利用した形態形成メカニズムを明らかにすることを目的とする。ゼブラフィッシュ胚のPSMにおいて、NotchリガンドであるdeltaC(dlc)遺伝子やHesファミリーに属するher1,her7遺伝子の発現が振動して時間的周期性を作りだし、FGFシグナルが体節の大きさ(空間情報)を規定する。本研究では、時間情報の指標として振動因子のmRNAの局在をin situハイブリダイゼーション法により検出し、その同一胚で、FGFシグナルの活性化の指標であるリン酸化Erkを抗P-Erk抗体を用いて免疫染色した。これまでに、時間マーカーとリン酸化Erkの染色に成功したので、2重染色した多数の胚を振動因子mRNAのパターンと体節の数を指標として継時的に並べ、FGF/Erk境界の動的な変化を予測する。また、マウス胚では、FGF抑制因子Sprouty4の発現が振動していることを突き止めた。平成21年度にこれらの結果をさらに発展させる予定である。
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