研究概要 |
我々が開発した糖鎖複台体アレイを用いて各種内在性レクチンのスクリーニンクを実施した。その結果、面白いことに、マンノースに結合特異性を示すと考えられてきたCタイプレクチンの1種であるランゲルハンス細胞上に発現するLanerinが、マンノースに加えて、カルシウム依存的に,Gal-6-sulfate含有糖鎖に強く結合する活性を有することを見出した。従って、本年度はこのLangerin分子の特性解析をに実施した。硫酸化糖鎖への結合には、マンノースへの認識に関与するEPN(Glr-Pro-Asn)モチーフに加えて、Lys299とLys313が関係していることを明らかにした。硫酸化Lanerinリガンドの局在を調べたところ、Galの6に硫酸を転移する活性を有するケラタン硫酸-6-硫酸化酵素(KS6ST)めmRNAの発現が高い脳や脾臓に局在していた。ケラタン硫酸は脳腫瘍組織で発現が増加することが報告されているが、実際に硫酸化Lanerinリガンドは正常と比較して悪性脳腫瘍組織で増加していた。更に、脳腫瘍組織の間質ではLangerin発現細胞が確認された。以上の結果から、Langerinは脳腫瘍組織特異的糖鎖を認識して何らかの機能を発揮している可能性が示唆された。一方、langerinは腫瘍関連糖鎖に加え、マンナンで細胞表層を被覆されたCandidaやMalasseziaなどの病原真菌に対しても強い結合活性を有することが分かった。以上の結果から、langerinは進化の過程で1つのCRDを介して、硫酸化糖鎖とマンノースという全く異なる糖鎖に結合する2重特異性を獲得した分子であることが分かり、非自己としての腫瘍特異的糖鎖や病原菌特異的糖鎖に結合することによりランゲルハンス細胞上で多様な機能に関係している可能性が示された。また、本研究成果は、内在性レクチンの機能の理解における詳細な特異性解析の重要性を改めて提示するもめである。
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