コーヒーなどに含まれるカフェインは身近な化合物の一つであるが、その機能は多岐にわたり、気管支拡張作用、強心・利尿・血管拡張作用、および疲労感軽減や覚醒作用などの中枢刺激作用が知られている。これらの作用は、カフェインがアデノシンレセプター(AR)を遮断することが主な理由の一つと考えられているが、その詳細が未解明のものも少なくない。当研究室では、カフェインとδ-carbolineおよびβ-carbolineとのハイブリッド化合物を種々合成し、ARのサブタイプA_3に対してより選択的に親和性を示すリガンドを開発してきた。本研究では、開発したリガンドのさらなる構造活性相関を検討することで、ARのサブタイプA_3に対してより親和性および選択性の高いカフェインの機能解明に有用な化合物を開発することを計画した。 当初開発したリガンドのピリジン環に酸素原子を介して側鎖を加えた誘導体を種々合成した。合成した化合物について、ARのそれぞれのサブタイプに対する親和性を調べた結果、親和性および選択性が低下した。一方、キサンチン骨格のN-Me基をN-Pr基に置換し、ピリジン環に酸素原子を介してプロピル基を導入した化合物は、当初開発したリガンドよりもARのサブタイプA_3に対してより親和性および選択性が高いことがわかった。 今後さらなる構造活性相関を検討する事により、ARのサブタイプA_3に対してより親和性および選択性の高いリガンドの開発を行っていく予定である。
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