研究概要 |
本研究では、「革新性」「効率」「実用性」をキーワードとして1)カルバモル遷移金属錯体のオレフィンへの付加を経るラクタム形成反応を開発し、2)これを基軸とした多環性アルカロイド類の合成を行った。本年度は、まず、エナンチオ選択的分子内シアノアミド化によるα, α-二置換ラクタムの合成手法を開発した。これは光学活性なホスホラアミダイト配位子とパラジウム触媒を用いるもので高収率で進行し最高で86%eeの選択性を得ることができた。高い選択性を得るために、配位子だけでなく溶媒あるいは添加剤の適切な選択が鍵となった。また、この反応を応用してvincorineの合成研究を行った。その結果、縮環位がアルキル化されたピロロインドール骨格を効率的に合成できる手法を確立することができた。すなわち、シアノアミド化によって合成したオキシインドールに官能基変換を施した後、アルキルリチウム種を作用させると、カルボニル基への付加と、側鎖窒素官能基の環化が同時に進行するというものである、さらにエナンチオ選択的Heck型のアミド閉環反応の開発を進め、本反応が5員環および6員環ラクタムの効率的な合成に有効であることを見出した。さらに、本反応を応用してquebrachamineのエナンチオ選択的合成に成功した。
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