研究概要 |
本年度は含八員環天然化合物であるAsteriscanolideおよび(+)-Prelaureatinの合成の検討を行った. (1) Asteriscanolide 4, 4-dimethylcyclopent-1-enecarbaldehydeから導いた環状アクリロイルシランとシクロヘプテノンのリチウムエノレートとの[3+4]アニュレーションにより, Asteriscanolideの骨格を構築することに成功した. (2) (+)-Prelaureatin まず, 2000年にCrimminsらによって報告された(+)-Prelaureatinの全合成における中間体の合成を行った. アクリロイルシランと6-オキサ-2-シクロヘプテン-1-オン誘導体のナトリウムエノレートを用いる[3+4]アニュレーション/α-水酸化をワンポットで行った後に, 四酢酸鉛で架橋部分を酸化的に開裂させることで, trans-α, α'-ジ置換基を有する八員環エーテル化合物を立体特異的に得ることができた. 置換基の相対配置は[3+4]アニュレーションにおける面選択性により完全に制御される. その後, NBS/TBAFを用いる酸化的脱シリル化, Wilkinson錯体による脱カルボニル化反応など数段階の官能基変換を経て, 全収率12%でCrimminsらの中間体を得ることができた. 次に, [3+4]アニュレーションの四炭素単位として(+)-Prelaureatinの側鎖部分を有するオキサシクロヘプテンを用い, より短工程での全合成を検討した. [3+4]アニュレーションは問題なく進行し, 79%の収率で立体特異的にビシクロ体を得ることができた. さらに, 酸化的脱シリル化, 架橋部分の酸化的開裂を経て(+)-Prelaureatinの基本骨格に導くことができた.
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