我々は光増感剤であるアントラキノンを用いることで安全かつ経済的な汎用蛍光灯からの可視光照射で光酸素酸化反応を行えることを見出している。またメソポーラスシリカ(再利用可、構造に起因する独特の特性-strained biradica1-を有する)を用いる酸化的光脱炭酸反応等を開発し、メソポーラスシリカの固体光触媒としての利用価値を既に見出している。本研究ではより環境に優しい光酸素酸化反応の実現を目指し、光増感剤とメソポーラスシリカの短所を-気に解決し長所(ハロゲンフリー、可視光、反応速い、再利用可)のみを有する可視光応答型光触媒の開発と光酸素酸化反応への適用について検討を行い以下のような結果を得た。(1)3-aminopropyltrimethoxysilaneをメソポーラスシリカであるFSM-16に固定し anthraquinone-2-carbonyl chlorideと反応させることにより、アミド結合によりアントラキノンをメソポーラスシリカに固定化した有機・無機ハイブリッド型メソポーラスシリカの合成に成功した。(2)3-chloropropyltriethoxysilaneをFSM-16に固定しanthraquinone-2-carboxylic acid sodium saltと反応させることにより、エステル結合によりアントラキノンをメソポーラスシリカに固定化した有機無機ハイブリッド型メソポーラスシリカの合成に成功した。(3)合成した光増感剤担持メソポーラスシリカを用いて芳香環状メチル基およびベンジルアルコールの可視光酸素酸化反応を行い、対応するカルボン酸が得られることを明らかにした。(4)反応後、アントラキノン担持メソポーラスシリカを良好な回収率で回収可能であることを明らかにした。
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