我々は光増感剤であるアントラキノンを用いることで安全かつ経済的な汎用蛍光灯からの可視光照射で光酸素酸化反応を行えることを見出している。またメソポーラスシリカ(再利用可、構造に起因する独特の特性-strained biradical-を有する)を用いる酸化的光脱炭酸反応等を開発し、メソポーラスシリカの固体光触媒としての利用価値を既に見出している。本研究ではより環境に優しい光酸素酸化反応の実現を目指し、光増感剤とメソポーラスシリカの短所を一気に解決し長所(ハロゲンフリー、可視光、反応速い、再利用可)のみを有する可視光応答型光触媒の開発と光酸素酸化反応への適用について検討を行い以下のような結果を得た。(1) メソポーラスシリカであるFSM-16にエステル結合、エーテル結合、およびアミド結合でアントラキノンを担持した有機無機ハイブリッド型メソポーラスシリカの合成に成功した。(2) 合成した有機無機ハイブリッド型メソポーラスシリカの中ではエステル結合により担持したものが最も高い活性を示し、4-tert-butylbenzylalcholから対応する酸化体であるカルボン酸及び過カルボン酸を合計収率98%で得た。(3) 酸化が困難な芳香環状メチル基の酸化も進行し、4-tert-butylbenzyltolueneから対応する酸化体であるカルボン酸を収率44%で得た。(4) 反応後、アントラキノン担持メソポーラスシリカは良好な回収率で回収可能であり、再利用しても一定の活性が保持されていることを見出した。
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