研究課題
本年度は前年度確立したグリコシルカルバメートとグリコシルカルバモチオエートの組み合わせによるorthogonal glycosylationのさらなる検討と適用範囲の拡大を目的に検討を行った。【結果】(1)6-OHグリコシルドナー6の合成法の確立これまで6はTBS基を用いて合成を行っていたが、その脱保護についてはカルバモチオエートの脱離も同時に起こり、不十分なものであった。そこで筆者は新たにPMB基を用いることで、この問題を改善することができた。(2)様々な糖を用いた検討上記の6-OHグリコシルドナーの合成法を用いて、グルコースに加え、ガラクトース、マンノースを出発原料に個々のビルディングブロックを合成した。さらにそれらをorthogonal glycosylationの条件に付したところガラクトース、マンノース両方とも本反応が適用可能であることを明らかにした。特にマンノースでは良好な反応性を示した。【総括】グリコシルカルバメートとグリコシルカルバモチオエートを用いて、グリコシル化を行ったところ温度を変えるだけで、αα選択的に三糖を合成することが出来、簡便に糖鎖を構築する方法を見出し、グルコース、ガラクトース、マンノースで本方法が適用可能であることを明らかにすることができた。今後はこの方法を応用させて人工合成ワクチン合成に適用することを検討したい。
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International Immunopharmacology (印刷中)
Carbohydrate Research 345
ページ: 740-749