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本研究課題実施の初年度である平成20年度において、本研究代表者は、スカンジウム触媒を利用した汎用的かつ高選択的なアルケン類のカルボメタル化反応の開発を目指し、当該反応及び触媒系に関する基礎的研究を行った。以下にその概略を記す。本研究代表者は既に分子内にシロキシ基を持つ末端アルケンを触媒量のカチオン性ハーフサンドイッチ型スカンジウムモノアルキル種存在下、トリメチルアルミニウムと反応させると、末端炭素にメチル基が、内部炭素にアルミニウムが付加する形でカルボアルミ化反応が進行することを見出している。今回、本触媒系および反応の適用範囲の拡大を目指し、種々の末端アルケンに対する反応を検討したところ、分子内に酸素原子を有する広い範囲の末端アルキンにおいて、同様の位置選択性で高選択的かつ高収率で反応が進行することが分かった。また、このような選択性の発現においては分子内の酸素原子の触媒への配位が重要であることを突き止めた。更に興味深いことに、通常のカルボアルミ化反応の触媒系では位置異性体の混合物を与える非対称内部アルキンの反応においても、本触媒系はやはり高い位置選択性にてカルボアルミ化反応を進行させることを見い出した。今後、これらの触媒系を従来の触媒系では位置選択性を出すことが困難な非対称内部アルケンのカルボアルミ化反応や、不斉反応への展開を検討するとともに、トリメチルアルミニウム以外の金属種を用いるカルポメタル化反応などについて検討を進める予定である。
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