陽電子放出核種として特にgallium-68とcarbon-11に着目し、標識のための高速反応として、ベンザインやラジカルという不安定な化学種を利用した以下の反応開発を行った。また、CO_2の捕捉を目的として、光触媒を利用した酸化還元反応を行った。 まず、プローブと生物活性分子とを連結するため、金属フリー条件下でのベンザインを用いたHuisgen型反応を検討し、高効率的に進行することを見出した。また、ベンザインとDMFが[2+2]型反応を介してサリチルアルデヒド類が得られること、不安定なベンゾオキセテン中間体を有機亜鉛試薬で捕捉できることを明らかにした。さらに、ベンザイン、DMF、活性メチレン化合物の三成分連結反応およびベンザイン、DMF、活性メチレン化合物A、Bの四成分連結反応にも成功し、温和な条件下、クロメン類やクマリン類、キサンテン類を高収率で得ることが出来た。また、ラジカル反応について、求電子性ラジカル(主にフルオロアルキルラジカル)を用いた位置選択的および立体選択的な反応を開発した。また、光触媒としてTiO_2(P25)を用いた芳香族ケトン類の効率的な還元に成功した。
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