研究課題
物理化学的な観点から両親媒性ヘリックスのモデル膜への結合を評価した。リン脂質膜へのスフィンゴミエリンの導入は膜を硬くし、ヘリックスの結合を抑制するのに対し、負の曲率を有するフォスファチジルエタノールアミンの導入は、膜表面の疎水性水和を高め、ヘリックスの結合を促進することを見いだした。アポリポタンパク質A-I(apoA-I)によるモデル膜の可溶化を追跡した結果、本来安定なPC膜に対しても、細胞内オルガネラ内の環境に近い低pH条件においてHDL様のディスク状複合体の形成が促進されることを見いだした。またこの現象が、apoA-Iの構造変化に起因することを明らかにした。超遠心分離と酵素呈色法によるコレステロールの粒子間移動評価法を確立し、膜からのコレステロールの排出はラフトではなく、非ラフト領域から起こることを明らかにした。またべシクル膜に比べ、ディスク粒子においてコレステロールの搬出が促進されることを明らかにした。蛍光を用いた粒子の構造評価によって、ディスク粒子中の脂質の密なパッキングがこのダイナミクスに影響を与えていることを定量的に明らかにした。このディスク状複合体の構造をさらに詳細に評価を行った結果、粒子の構造はそれを形成する脂質の特性に大きく依存し、飽和リン脂質により構成されたディスク粒子は1種類の平板状のディスクを形成するのに対し、不飽和リン脂質では3種の異なる大きさの粒子が生成し、小さい2種類のディスクでは脂質二重層が鞍状曲面を形成する構造を持つことを蛍光法により明らかにした。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件)
J. Put. Sci. 15
ページ: 327-336
Biochemistry 47
ページ: 6702-6710
J. Lipid Res. 49
ページ: 2419-2426
Biochim. Biophys. Acta 1788
ページ: 2594-2603