研究概要 |
これまでに用いてきたコイルドコイルプローブK3配列のコイルドコイル認識部位(残基番号1-21)に加えて、C末端側にリンカー(22-23)、プロテアーゼ認識・切断部位(24-27)、およびクロスリンク部位(28)を持つsmall coiled-coil用プローブの合成を行った。コイルドコイル認識部位のLysはArgに置換し、NH2基反応性試薬を用いて部位特異的に蛍光ラベルやクロスリンクを行えるようデザインした。相互認識に重要なプローブ配列のLysをArgに置換しても、元の配列と同様の結合力で特異的蛍光ラベルが行えることを確認済である。樹枝上でN末端に蛍光色素フルオレセインをラベルしたペプチドを脱保護、精製し、次にC末端アミノ基をテトラメチルローダミンSEでラベルすることを試みた。しかしながらペプチドとラベル試薬を混合すると非常に凝集しやすいことかわかった。色素がペプチド凝集を促進、またはシステインの酸化に伴うダイマー形成が原因だと考えられる。そこで、ラベル蛍光色素をより水溶性の高いCy5に変更してラベルを試みた。TFE,MeOH,HFIP等有機溶媒中での反応を試みたがいすれも精製物が見られなかった。そこで溶媒を100mMHEPESpH74に変更したところ反応は進行したが、アミノ基に加えてCys側鎖のチオール基にも蛍光色素の付加がみられた。Hydroxylamineを加えることでチオエステルを分解し、目的物を得た。その際、一部はダイマー化していたため、約100等量のDTTを加えて還元し、モノマーのプローブ(FL-probe-Cy5)を得た。これにクロスリンクを加えたところ最終目的プローブの精製が見られたが反応は完全には進行していなかった。FL-probe-Cy5はbufferに溶解しにくいため、完全に溶解してからクロスリンク試薬を加える必要がある。small oiledcoil用タグ配列については問題なく合成を完了した。
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