研究概要 |
2つの蛍光色素およびクロスリンカーを標識したプローブ(FL-probe(GMBS)-Cy5)の合成に関して、これまでに中間体の(FL-probe-Cy5)を得ることが出来ていたが、個々に約100当量のsulfo-GMBSを加え、pH6.5の50mMリン酸カリウム緩衝液中で,短時間(6分)反応させる事でプローブを得られることが明らかになった。精製したプローブをW-tag配列ペプチドと混合し、クロスリンク反応が起こるか確認を行ったところ、プローブの凝集または容器への吸着により、溶液からプローブが速やかに失われていることが明らかになった。そこで、プローブの水溶性を改善する為に、比較的水溶性が高いと考えられるATTO488およびATTO700を蛍光色素として用いたプローブ(ATTO700-probe(GMBS)-ATTO488)の合成を行った。これまでと同様の合成反応を行い約7nmolの精製プローブを得ることが出来た。このプローブを用いて、タグ配列(EIAAIER)3-GGIEGRKをN末端に付加したbeta2アドレナリン受容体をCHO細胞に一過性発現させ、染色を行ったところ、細胞膜上でATTO488、ATTO700両者の蛍光が見られる細胞が観測できた、100nMのプローブをPBS(+)中30分インキュベート後に、PBSでの洗浄を10回行ってから観察してもやはり蛍光は観察されたことから、タグとプローブ間にクロスリンク反応が起こっていることが示唆された。さらに、プロテアーゼfactorXaを加えて観察を続けたところ、ATTO700の蛍光が60分後には有意に減少したのに対し、ATTO488蛍光は大きくは減少しなかった。従って、プロテアーゼ処理により余分なタグープローブ配列を取り除くことができたと考えられる。以上、研究の目的であった新規小分子ラベル法のクロスリンク化と小型化を達成することができた。
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