腎不全で蓄積した尿毒素は、グルタミン酸受容体の一つであるNMDA受容体を活性化し、グルタミン酸神経の機能異常を示すことが示唆されている。本研究では、Overhauser-enhanced MRI(核・電子間の2重共鳴法;OMRI)を用いた、腎不全モデルマウス脳内におけるレドックスイメージングを行った。 腎臓摘出後2、4および8週間後のマウスについて評価を行った。脳内酸化ストレスの指標としては、腎不全マウス(8週)のみ、脳内8-OHdGの蓄積が認められた。放射状水迷路による脳機能の評価では、摘出8週において学習障害が認められたが、2及び4週においては正常マウスと同等の学習能力を示した。また、OMRIを用いて脳レドックスイメージングを行ったところ、4週において造影剤であるmethoxycarbonyl-PROXYLのレドックス反応亢進が認められたが、8週においては正常レベルであった。 以上の結果から、OMRIによる脳機能評価では、行動変化や酸化物蓄積に先立つ病態変化をとらえることが出来る可能性が示唆された。
|