IkappaB kinase基質ペプチドの合成および高分子材料の調製 IkappaBキナーゼ(IKKbeta)応答型高分子中のペプチドの短鎖化、IkappaB-alpha36位SerよりC末端の配列の検討を目的として、新たに計16種類を設計・合成してリン酸化能を調べた。その結果、32位Serのリン酸化には36位SerよりC末端に存在するアニオン性のアミノ酸クラスターは必須ではなく、32位Serに続くGly-Leuまでで十分なこと、RDHのN末端に存在するERLL配列がリン酸化に重要であることがわかった。今後、ERLLのどこまでが削除可能かを調べることより短鎖化に関する完全な情報が得られる。一方、36位SerよりC末端の配列だけでは有意なリン酸化は起こらず、IKKbetaの基質として32位SerのN末端配列が必須であることがわかった。リン酸化が確認できた基質についてはアクリルアミドとラジカル重合して、ポリアクリルアミドを調製した。 試験管内での機能評価・培養細胞での評価 ポリマーがDNAと複合体を形成するか、そしてIKKbetaによるリン酸化で複合体の崩壊が起こるかをアガロースゲル電気泳動で調べたところ、弱いながらもIKKbetaに応答してDNAを放出するポリマーを新たに1種、見出した。高分子-DNA複合体のエンドサイトーシスによる取り込み能を各種培養細胞を用いて調べた。その結果、TNFalpha刺激HeLa細胞で2〜3倍のレポーター遺伝子発現が認められた。リポフェクション試薬とのリポポリプレックスを検討したところ、遺伝子導入効率は上がるものの、刺激応答性が消滅した。磁気ビーズによる方法との併用も検討したが、期待した結果は得られなかった。遺伝子導入効率を上げると刺激応答性が消えてしまう、というこのジレンマの解決が次年度への課題である。
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