研究概要 |
本研究では、新規高速向流クロマトグラフィー質量分析法(HSCCC/MS)の開発とそれを応用した天然機能性物質の単離精製とライブラリー作成を目的とした。初年度では、装置の開発に特化し、そのシステムを構築した。更に本年度が最終年度となり、HSCCC/MSの構築および応用性の検証が完了した。その結果、ESIによるモニタリングと同時に単離精製を行うことができた。本手法を用いて、具体的な天然機能性物質である抗生物質ゲンタマイシン(C1,C2,C1a)、エンラマイシン(A,B)、アバメクチン(B1a,B1b)の主成分を獲得することに成功した。実際には、数~数十mgで各種成分を純度90%以上で獲得することができた。その他に、各天然色素の成分の抗酸化作用の評価なども行い、様々な試験系へ応用できることも立証している。また、未知成分の単離を目指したグラジエントHSCCC/MSに関しても各種条件検討を行っており、コーヒー成分の単離プロファイリングが実施することができ、クロロゲン酸類の獲得することが達成できた。現在、各成分の標準品化を目指した液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー評価を行い、純度を明確にした天然機能性物質のライブラリーを構築している。HSCCC/MSは、数~数十mgの高純度成分を単離しながら、質量分析を実施する画期的な分析手法と位置付けられ、今後、様々な生体高分子化合物や天然有効性成分へ応用可能と思われる。
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