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2008 年度 実績報告書

脳細胞傷害時における細胞間情報伝達分子としての過酸化水素の役割

研究課題

研究課題/領域番号 20790052
研究機関北海道大学

研究代表者

片山 貴博  北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (90399957)

キーワード過酸化水素 / 脳細胞傷害 / MCP-1 / 脳スライス培養系 / ヒドロキシラジカル / エダラボン / アストロサイト / ラジカル消去薬
研究概要

過酸化水素(H_2O_2)が脳傷害時の細胞間情報伝達分子として働いている可能性を検討するため、ラットの大脳皮質線条体領域から作製した脳スライス培養系を用い、H_2O_2による細胞傷害ならびにケモカインMCP-1の産生に着目して検討を行った。H_2O_2はその濃度依存的に細胞傷害およびMCP-1産生を惹起し、主なMCP4産生細胞はアストロサイトであった。この細胞傷害およびMCP-1産生の詳細なメカニズムを明らかにするため、ラジカル消去薬エダラボンの効果を検討したところ、エダラボンはH_2O_2による細胞傷害を濃度依存的に抑制する一方で、H_2O_2によるMCP-1産生には全く影響を与えなかった。そこで、他のラジカル消去薬あるいはラジカル生成抑制薬によっても同様の効果が観察されるかどうかを検討した。ラジカル消去薬ジメチルチオウレアは、エダラボンとは異なり、H_2O_2による細胞傷害およびMCP-1産生の両方を濃度依存的に抑制した。また、H_2O_2からヒドロキシラジカル(・OH)への生成に必要な鉄のキレート剤2, 2'-dipyridylも、細胞傷害ならびにMcP-1の産生を抑制した。これらの結果から、H_2O_2による細胞傷害は、・OHの生成を介した作用であることが示唆された。一方、ジメチルチオウレアや2, 2'-dipyridylがMCP-1産生を抑制するにもかかわらず、エダラボンが抑制作用を示さなかった理由については今のところ不明であり、そのことが脳保護薬としてのエダラボンの薬理作用機序に関わるか否かも含めて今後の検討課題である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Neuronal injury induces cytokine-induced neutrophil chemoattractant-1 (CINC-1) production in astrocytes2009

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Katayama
    • 雑誌名

      J. Pharmacol. Sci 109

      ページ: 88-93

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reciprocal regulation of ATPyS-induced monocyte chemoattractant protein-1 by ERK and p38 MAP kinases in rat corticostriatal slice. cultures

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Katayama
    • 雑誌名

      J. Neurosci. Res. (in press)

    • 査読あり
  • [学会発表] 神経細胞傷害時におけるアストロサイトでのMEK-ERK系の持続的活性化とケモカインMCP-1産生亢進2008

    • 著者名/発表者名
      小松陽介
    • 学会等名
      第59回日本薬理学会北部会
    • 発表場所
      仙台(仙台市情報・産業プラザ)
    • 年月日
      2008-09-27
  • [学会発表] 過酸化水素により誘発される細胞傷害およびケモカインMCP-1産生誘導に関する検討2008

    • 著者名/発表者名
      小松陽介
    • 学会等名
      第22回北海道薬物作用談話会
    • 発表場所
      札幌(北海道大学薬学部)
    • 年月日
      2008-07-26
  • [学会発表] 過酸化水素による細胞傷害およびケモカインMCP-1産生誘導に関する検討2008

    • 著者名/発表者名
      小松陽介
    • 学会等名
      日本薬学会北海道支部第130回例会
    • 発表場所
      札幌(札幌コンベンションセンター)
    • 年月日
      2008-05-10

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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